そのむかし、由布院盆地は大きな湖だった。
ある日、由布山の山霊神の化身である宇奈岐日姫の神が力自慢の従者権現に「岸辺の一部を蹴破って、湖の水をなくしてみよ」と、命じた。
権現は湖の壁の一番薄いところを満身の力を込めて蹴とばした。湖の水が音をたてて流れはじめ、みるみる内に減水し、現在の盆地が出来上がった。
そして天は、四季折々に見せる美しい由布岳の景観、肥沃な豊かな土地から生まれる産物、そして滾々と湧き出る温泉と多くの豊かな自然を恵んでくれた。
湯布院で生まれ育った私は、そんな話を小さい頃よく聞かされました。
そして、その天からの自然の恵みのなかで、御宿なか屋という小さな宿屋をやっております。
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